「このまま今の会社で働きつづけられるのかな…」
終身雇用制度の崩壊や新型コロナウイルスの影響で、一度就職したら退職まで働く、という従来の働き方に不安を持つようになった方は多いのではないでしょうか。
じゃあどうしたらいいの?と調べてみると、副業・ハイブリッドワーカー・パラレルキャリア・スラッシャー…
たくさんの新しい働き方を表す言葉に出会います。
この記事では、ハイブリッドワーカーの概念やメリット・デメリット、ハイブリッドワークに向いている人・向かない人について解説します。
ハイブリッドワーカーとは?
ハイブリッドワーカーとは「会社勤めをしながら自己実現のための仕事もしている人」を指します。
手堅い仕事をして生活の安定を確保しつつ、もう一方の仕事で自分の夢ややりたいことに挑戦していくイメージです。
ハイブリッドワーカーという言葉は、2009年に刊行されたヨシナガ氏編「ハイブリッドワーカー 会社勤めしながらクリエイティブワークする」(講談社)により知られるようになりました。
この本には当時のハイブリッドワーカー6人へのインタビューが掲載されています。
そのうちの一人、田中圭一氏は会社員や大学の専任教授として勤務しながら執筆する「サラリーマン兼マンガ家」です。
手塚治虫のパロディ作品が有名で、今もハイブリッドワーカーとして活躍しています。
またヨシナガ氏本人も、企業に勤めながらブログの運営やLINEスタンプの作成、本の執筆などで活躍しているハイブリッドワーカーで、自身を「サラリーマンクリエイター」と称しています。
ハイブリッドワーカーと副業ワーカーの違い
ここで、仕事の掛け持ちをしているのなら副業と同じなのでは?と思われた方もいらっしゃるでしょう。
では、副業とハイブリッドワークの違いは何なのでしょうか。
普段は会社員として働き、勤務時間外や休日にもう一つの仕事をするという点では、副業とハイブリッドワークは同じです。
しかし仕事をする目的が違います。
副業ワーカーは、総収入を増やすことを目的としています。
それに対しハイブリッドワーカーは、収入を増やすことではなく「自己実現」を目的としています。
一方の仕事は生活のため、もう一方の仕事では自分の夢や挑戦したいことに取り組むのです。
マンガ家や作家、ミュージシャンなどクリエイティブと言われる仕事は、それ一つでは生活できるだけの収入を得るのがなかなか難しいですが、ハイブリッドワークとして取り組むことで、安定した生活を確保しつつ夢を叶えることができます。
ハイブリッドワーカーのメリット
収入源を分散できる
複数の仕事をするため、収入も複数の箇所から得られます。
ですから、仮に勤め先が倒産してしまっても、収入がゼロになってしまうことは避けられます。
ハイブリッドワークは収入が主たる目的ではありませんが、収入の安定は心の安定につながりますので、これは大きなメリットと言えます。
社外の人脈が広がる
活動の場が会社以外にも広がることで、出会いの幅が広がり、出会う人の数も増えていきます。
様々な人に出会うことで、刺激を受けて思わぬアイデアが浮かんだり、つながった人から仕事を紹介してもらえたりすることもあるでしょう。
人脈は値段のつけられない大切な財産。その財産が広がり増えていくのです。
自分の肩書きで仕事ができる
企業に所属していると、会社の看板を背負って、会社から与えられた肩書きで仕事をすることになります。
ハイブリッドワーカーは、自分の名前を看板にして、自分の肩書きだけで仕事をすることができます。
企業のネームバリューに頼らず、一個人として認められ相手に価値を提供できるという経験は、自己実現を目的とするハイブリッドワーカーにとって素晴らしい経験です。
ハイブリッドワーカーのデメリット
このように魅力的なハイブリッドワーカーですが、もちろんデメリットもあります。
時間管理能力が問われる
会社の終業後や休日に仕事をするので、その時間内できちんと終わらせられるように管理する能力が求められます。
また仕事に費やす時間が増えるため、自由に使える時間はごく限られたものになります。
その限られた時間の中で休養したり、家族との時間を取ったりすることが必要になります。
それがうまくできないと、心身が疲弊して仕事に支障が出たり、家族とのコミュニケーションがうまくいかなくなってしまう可能性があります。
トラブルは自分で解決しなければいけない
会社員として仕事上のトラブルに見舞われた時は、会社が対応してくれることが多いでしょう。
しかし、個人で仕事をしていると、トラブルは全て自分で解決しなくてはなりません。
自分には全く非のないケースだとしても、弁護士を立てなくてはならないような事態に陥ることもあります。
仕事に集中するためにトラブルはできるだけ避けたいものです。
個人で仕事をする時に多いトラブルを調べたり、いざという時の相談窓口をあらかじめ調べておいたりして対策しておく必要があります。
ハイブリッドワーカーに向いている人
自ら行動を起こせる人
「やってみたい!」と思うことがあったら「どうやったらできるのか?」を自分で考えて動き出さなければ実現できません。自分の頭で考えてチャレンジできる人が向いているでしょう。
自己管理ができる人
会社勤めも夢のための仕事も充実させていくには、仕事の時間管理だけでなく、健康管理やタスクの管理、仕事と休息のバランスの管理など、様々なことを管理する能力が求められます。
コミュニケーションが得意な人
会社以外にも活動の場を広げると多くの人と出会います。様々な立場の人とのコミュニケーションが得意であれば、その出会いをしっかりとした人脈に育てていけます。
ハイブリットワーカーに向いていない人
他人からの指示を待つ人
ハイブリッドワークでのもう一つの仕事は「自分のやりたいこと」です。自分のための仕事ですから、他の人からの指示はありません。
自己管理が苦手な人
時間管理が苦手で先延ばしグセがある、詰め込みすぎてしまう、健康管理をしていない…。
そのような状態だと、どちらの仕事も回せなくなったり、オーバーワークになって心身の健康を害してしまったりする可能性があります。
プライベートの時間をしっかり確保したい人
1日は24時間です。ハイブリッドワークをすれば仕事に費やす時間が増えるので、残る時間は必然的に少なくなります。その少ない時間をやりくりしてプライベートの時間を捻出することになるため、常に満足いくまで自分のことに時間をかけるのは難しくなります。
まとめ
以上、ハイブリッドワーカーという新しい働き方について解説してきました。
働き方についての価値観が多彩になり、私たちはこれまでよりもずっと多くの選択肢を持つようになりました。
そしてハイブリッドワーカーという働き方は、その多様な選択肢の中の一つに過ぎません。
近年の、これまでの働き方に不安を抱くような状況は、改めて自分のこれからの働き方やライフスタイルについて考える良い機会でもあると思います。
「自分は何がしたいのか?」「自分はどうありたいのか?」
もう一度自分に問いかけながら、様々な新しい働き方について考えてみてはいかがでしょうか。