「旅しながら働く」人は、どんな仕事をしているのか?

長時間労働による過労死、育児休暇を取得できない職場環境といった問題が表面化し、政府主導で働き方改革が推進される中で、「リモートワーク」や「ワーケーション」といった新たな働き方を導入する企業が増えてきました。

今回は、ワーケーションを実践している人はどんな仕事をしているケースが多いのか、また今後のリモートワークやワーケーションの動向についてもあわせて解説いたします。

海外と比べて、日本の「リモートワーク」の浸透率は?

まず、リモートワークについて見ていきます。リモートワークとは、出勤せずに自宅やカフェなどで仕事をするワークスタイルのことを指します。

オフィスの管理費や人材確保のコスト削減や生産性向上を目的に、導入する企業が増えつつあります。

従業員は、上司を気にすることなく、自由に働くことができ、また育児や家庭の時間も作ることができ、ワークライフバランスも重視することができます。

総務省が発表している「情報通信白書29年度版」によれば、日本でリモートワークを導入している企業の割合は13.3%にとどまっており、まだまだ増える見込みです。

これに対し、米ギャラップ社が2016年に行ったリモートワークの調査では、「仕事の一部または全部を在宅でする」人が43%と、海外でのリモートワークの普及率が高いことがうかがえます。<参照:情報通信白書29年度版|総務省

旅しながら働く「ワーケーション」

近年は、リモートワークからさらに進んで「ワーケーション」という概念が新たに登場しました。

ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で、旅しながら働くワークスタイルのことを指します。

近年では、JAL(日本航空)や和歌山県白浜町、三菱地所など、地方自治体や大手企業がワーケーションを導入しています。

このように、地方創生や地方活性の一貫として、地方の行政と大手企業が連携しワーケーションが出来る環境を整備し、地方都市の関係人口を増やすプロジェクトも増えており、これからの働き方の選択肢の一つに加わりそうです。

ワーケーションに適さない職種は?

ワーケーションは、全ての職種に適した働き方ではありません。以下に書いたような仕事はワーケーションの導入が難しいかもしれません。

現場に行く必要がある仕事

例えば、工場の生産ライン管理の仕事、秘密保持の契約にかかわる書類やデータを扱う仕事は現場に出勤する必要がどうしても出てくるので、ワーケーションには適していません。遠隔操作の技術もいずれ登場するとは思いますが、コストと技術的な部分でまだまだ非現実的でしょう。

オフラインコミュニケーションが必要な仕事

例えば、イベントのファシリテーター、結婚式のプランナーといった空気感の演出や場を作る仕事は、オンラインでなかなか上手くコントロールすることができません。

「旅しながら働く人」の代表的な仕事

旅しながら働く人は、具体的にどのような仕事をしているケースが多いのでしょう。それは、主に以下の4つになります。

システムエンジニア

Webサーバーを使うのでWi-Fi環境が整備されていることが条件ですが、他の仕事に比べると、ワーケーションが実践しやすいです。

ライター

取材やイベントレポートであれば、現地におもむく必要が出てくることもありますが、最近は電話やオンライン取材が可能なケースも多いため、ワーケーションをされている方も多くいらっしゃいます。

デザイナー

デザインの加工処理・編集で必要なマシンスペックにもよって変わりますが、基本的にはパソコン一台で完結しやすい仕事です。

営業

営業の担当エリアが広ければ可能になります。極力、営業管理ツールを使い、会議や報告の手間を効率化することでワーケーションも現実的になりそうです。ただし、上の3つに比べれば、まだまだ実現性は低いと言えるでしょう。

当面「ワーケーション」は特定の職種に限られる

上でも書いたように、ワーケーションが導入できる職種は「パソコン一台で成立する仕事」「いろんな場所に行ける仕事」「場所が関係ない仕事」「場所にとらわれない仕事」といった条件があり、なかなかそれ以外だとコストがかさんでしまい、導入には手が進まないのが現状です。

新しい働き方を導入するとなると、目に見える生産性を追い求めてしまいますが、ワーケーションのようにいつも環境が変わることでアイデアが想起される、なんとなく気分が良いという社員のモチベーション向上にもつながることもあるので、数値で測れない価値を見極めることも、今後、新たな働き方を導入する上では重要になってくるものと思われます。