ついに、地方×複業という取り組みにスポットが当たる施策が発表されました。
2020年から始まるとされる地方兼業・複業者に対しての交通費支援(補助金)。具体的な内容についてまとめてみました。
地方兼業・複業者に対しての交通費支援(補助金)の概要
政府の公式HPでの発表がないので、日本経済新聞の情報から引用。
政府は2020年度に、東京圏に住みながら地方で兼業や副業をする人に交通費を支援する制度を始める。20年度予算案に計上した1000億円の地方創生推進交付金を活用し、1人当たり年間50万円を上限に3年間で最大で150万円を支給する。交通費が往復で1万円を超える場合、国と地方自治体がその半分を兼業や副業先の企業に助成する。
年間50万円が上限なので、月に換算すると4万円。
東京⇔京都が往復26640円(のぞみ)なので、さらにその先の地域で活動する首都圏の複業ワーカーも対象に。
これは、なかなか思い切った施策だと思います。
交通費支援(補助金)の条件
東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県から他地域へ兼業・複業をするために通勤する人を対象にしています。
ただ、まだ明確な条件は示されていません。
地方創生推進交付金とは?
その前に気になるのが、地方創生推進交付金です。
地方創生推進交付金とは、地方公共団体の自主的・主体的な事業で先導的なものを支援する取り組みのことで、地方公共団体が地域再生計画を作成、その後、内閣総理大臣の認定を受けた場合のみ、提出した事業計画において、交付を受けることができます。
また、交付対象事業としては・・・
“先導的”な事業 (=地方創生の深化に向けた、以下のような事業をいう)
・官民協働、地域間連携、政策間連携等による先駆的な事業
・先駆的・優良事例の横展開を図る事業
・既存事業の隘路を発見し、打開する事業
としています。
地方で兼業・複業する人への交通費支援を行う目的
政府の「東京一極集中の是正について」資料によれば、首都圏の13.6万人の転入数に比べ、地方圏からの転出総数は12.0万人と上回っており、「首都圏一極集中」がさらに進んでいます。
先進国各国(イギリス、イタリア、フランス、ドイツ、アメリカ)と比べても、日本はダントツで
首都圏への人口集中が高く、30%台となっています。
「首都圏一極集中」は財政が安定するというメリットもある一方で、想定しない大災害やテロが起こった時、首都が麻痺し、二次災害やさらなる被害を拡大するというリスクも以前から懸念されています。
この「首都圏一極集中」を打破しようと、政府は地方移住などの施策を打ち出しましたが、あまり効果がなく、兼業・複業を通した関係人口創出に乗り出しています。
5Gの普及、テレワークの浸透は「地方複業」の追い風となるか
地方複業のカギとなるのが、5Gとテレワークの浸透です。
5Gは2020年春から順次サービス開始
日本では、2020年春より順次、5Gの普及が始まると言われています。
今一般的に使われている4Gと比較すると、その速さは100倍といわれており、また同時接続数が増える、ダウンロードの待ち時間が減るなど、さまざまなメリットがあります。
5Gが普及すれば、リアルタイムでオンラインミーティングも可能になるため、地方複業へのハードルが下がります。
オリンピックで「テレワーク」は広まるのか
政府は、東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と名付けているように、オリンピックを皮切りに、テレワークの推進を検討しています。
オリンピックの間、交通規制や訪れた人が密集することにより、首都圏は非常に混雑し、平常通りの仕事が行えないのは明白です。
オリンピックは7/24〜8/9の2週間程度行われるため、多くの企業でテレワーク勤務もしくは休業の措置がとられると見られていますが、果たして一過性のものになるのか、それともテレワークのメリットに気づき、社会全体がテレワークを受け入れる空気になるのか、そこはまだ分かりません。
「住む場所」にとらわれず、仕事ができる時代へ
もう小さな渦として各地で起こっていることですが、今後はさらに地方複業、二拠点居住、アドレスホッパーをする人が増えていくでしょう。
しかし、これはまだまだ若者の文化でとどまっているところがあります。
もっとも地方複業のハードルが高い40代、50代といった子育て世代まで浸透してはじめて、自由な働き方が浸透してきたと言えるのではないでしょうか。
事実、40代〜50代は企業でも管理職のポストにつくほどのスキルと素養を持っており、そこの層が地方へ流れ込んでくれば、さらに面白い展開が期待できそうです。