今回は、働き方ライブラリーVol.5!
「会社に行きたくない」
「新しい仕事をしたいけど、スキルもないしどう踏み出して良いかわからない…」
キャリアに関する悩みは尽きません。
佐藤さんは、大手銀行、IT企業、アクセサリーショップ、翻訳など、さまざまな職につき、自分の向き不向きを知り、試行錯誤して自分らしい生き方を切り開いています。
今回は、そんな佐藤さんから、自分のキャリアの選択肢を増やす方法や自分らしく生きるコツについてお聞きしました。
横浜生まれ、スペイン育ち。沖縄・カンボジア放浪し、名古屋にたどり着く。
ーー今の仕事を教えて下さい。
佐藤さん:今は、留学あっせんの会社「L.C.A.株式会社」で取締役をしています。
仕事を一言で表すなら、「留学というサービスを通じて、若者の未来の可能性を広げる、キャリアを作るお手伝いをする」
会社というよりは、個人が集まっている組織なので、自分の強みを活かして多岐にわたって活動をしています。
私は、主に営業や講演、渉外などの業務をしていて、最近は、「ナゴヤ100人カイギ」にも登壇しました。
「ナゴヤ100カイギ」で登壇したときの様子
ーー以前ちらっとお聞きしたのですが、過去さまざまなお仕事をされていたそうで。
佐藤さん:そうですね。過去の経歴をざっくり話すと……
まず、幼少期はスペインで過ごし、その後日本に帰国、東京の外国語系の大学に進学しました。
高校生の時は、ラグビーに没頭していました。今も趣味として続けています。
趣味のラグビーをしている時の様子
卒業後は、大手の銀行に入社し、主に営業と新規事業戦略の部署にいました。
新規事業戦略の仕事では、多くの新規事業の企画に携わり、経営視点も身につき、とても良い経験ができました。
その後、IT企業やアクセサリーショップの店長など、数社で働いたのち、沖縄に行きました。
ーーさまざまな仕事をされてきたのですね。沖縄に行ったのは転職がきっかけですか?
佐藤さん:まあそんなところです。お金持ちの人に「月25万円払うから色々手伝って」といわれて付いていったんです。
俵谷:!?その方とはどこで知り合ったんですか?
佐藤さん:どっかの飲み会で知り合って。出会ったきっかけは、ちょっと覚えていないですね。
よくあるんですよ、そういうこと(笑)
ーー(笑)沖縄でどんな仕事をしていたのか気になりますね。
佐藤さん:会議のセッティング、電車の手配など、秘書的なことをしていました。
他にも、草むしり、ジャンボにんにくの栽培、個室ビデオ喫茶の普及活動、子供のためにスコップとつるはしで大きな砂場を作るなど、最後の方は半分雑用のような仕事ばかりで、意見が噛み合わなくなってやめました。
ーーその後は?
知人からの「所有している廃墟があるんだけど住まない?」と言われ、名古屋に移住しました。
その頃は、ちょうど今で言うノマド状態でパソコン一台で、翻訳の仕事をしていました。
ただ、食べていくのがやっとで、日本だときついけどカンボジアだったらできそうと思って、カンボジアに渡りました。
ーー憧れのライフスタイル……。どのくらい続けたんですか?
半年くらいかな……。翻訳家の仕事は、今単価は上がっていますが、年々仕事の数は減っているんですよ。
するとどうなると思います?
ーー少ない仕事に多くの翻訳家が殺到する?
その通りです。仕事で困っている人はどうしても仕事を受けたいわけです。
安く金額を提示するから、安いプレイヤーばかりに仕事が集中して、市場価格が崩壊して……ということが起こったんです。
これはとてもやっていけないということで、切り上げて日本に戻ってきました。
その後は、知り合いを介して現職の社長と出会い、今の会社にジョインしました。
出された選択肢の中で、「おもしろい」と思うものに突き進んでいるだけです
ーー今まで、いろいろな仕事をしてきていると思いますが、仕事を選ぶ基準・選ぶ基準はありますか?
佐藤さん:「目の前に来たものを着手する」っていうのが率直なところですね。
シンプルに、出された選択肢の中から「ここおもしろいかも」と思ったものを選んできただけなんです。
今の仕事も、特別に「やりたい!」って思った記憶はないですね。もちろん今は楽しいですけどね。
じゃあ、それを言語化して考えるとどういうことかというと、「逃げ(方向転換)」なんですよね。
だからといって、「上司が嫌だから」みたいな理由ではやめていません。
それだと、次の職場でも同じことを繰り返すと思うので。
そうではなく、働く場所、働き方、取引相手との関係性で相性が合わなかったら、「今回は〇〇がダメだったから、つぎは〇〇がない環境にしよう」みたいに、PDCAを常に回して自分に合った働き方・仕事を見極めています。
中途半端に逃げる(方向転換)のではなく、とにかく思いっきり変えるのが大事ですね。
今までのキャリアに一貫性がないようにみえるのも、ドラスティックに今までの要素を全部捨てて、新しい仕事を選んでいるからですね。
ーーとはいえ、いろいろやっていると「自分は何したいんだっけ」と思う時はないですか?
佐藤さん:あまりないですね。私はよく自分のことを「旅人」ということがあるのですが、まさに働き方というより、生き方で自己紹介しています。
ーーなるほど。「何をしているかではなくどう生きるか」ですね。
たくさんお金をもらえたとしても、「選ぶ権利がない人生」はイヤですよね
ーー仕事で大切にしている想いやコンセプトを教えて下さい。
「人の価値観を広げること」です。
実は、うちの兄は以前仕事が原因でうつになったことがあって。今は社会復帰をしていますけどね。
お互い性格も違うし、もともと仲が良かったわけではないので、社会に対して憤りを感じているわけではないのですが、彼を通して、会社をやめたらいけないみたいなキャリアの閉塞感が見えたんです。
当初は転職すればいいのにと思っていましたが、転職って解決策のようでそうでないことも多いじゃないですか。
ーー確かに、転職するにしても根本の課題が解決しないと、また同じようにつまづいてしまいますね。
キャリアップで大切なことは、自分が持っているスキルを具体化し、人に役に立てることを把握することだと思っています。
言い換えれば、「自分の役割を認識して、組織の空席(ポジション)にすっと入り込む」ということ。
一人ひとりがこれらの作業をできるようになれば、もっと主体的に人生を選択できる人が増えると思います。
自分の人生なのに選ぶ権利がないってイヤじゃないですか。
「仕事は辛いもの」と割り切り、我慢しながら報酬を得るのは、やっぱり健全じゃないですよね。
ーーそういうこともあって、留学の事業に携わっているんですか?
そうかもしれません。
海外で新しい景色に触れ、英語を学び、異国の人と生活して、自分が新しくなる。
留学はそれが特に顕著に出ます。
あと、いやらしい話をしますが、特に20代前半の時は、学歴、英語力、スペイン語というスキルのおかげで、人一倍有利だったと思います。
スキルを持っていたから、思い切って自信を持ってチャレンジできたのかなと。
裏を返せば、自分のようにたくさん行動して、スキルさえ身につければ、自由に働けるということが言えます。
ーー新しい業界に飛び込むことって、刺激もある反面、新しいことも覚えないといけません。苦痛じゃないですか?
できないこと・課題に対して、ワクワクしてしまう性分なんですよ。
今の自分は好きだけど完璧じゃなくて、成長余地があると思っていて、だから昨日と違うことをしたいんです。
巻き込まれることを楽しむ。大切なのは「決断力」
ーー今までのキャリアって、人に巻き込まれることから全て始まっているように思えます。人に巻き込まれるコツ・方法を知りたいです!
佐藤さん:とにかく人に関心を持ち、色々な人に話しかけることですかね。
自分が面白い人に話しかけて、相手からも面白いと思われて話しかけられることに尽きますね。
ーーまずは人と会う数を打つと?
佐藤さん:そうですね、積み重ねです。
ただ、人に話しかけまくっても疲弊するだけなので、いいなって思った人としっかりと関係性を作ることが大切ですね。
あと、常に情報のアンテナをはっています。
今日の取材のきっかけも、俵谷さんのFacebookの投稿にコメントしたところから始まっていますし。
決断も早いですね。
ーーやっぱり、巻き込まれるのに大切なのは決断力か…。
「自分の意志で生きる」メッセージを、自分の生きざまを通して伝え続けたい
ーー最後に今後の展望について教えて下さい。
ドラクエ3に出てくる「ドラクエの遊び人」は魅力的な存在だなと思いますね。
遊び人は、レベル20までは役に立たないキャラクターなんです。
戦わせると、お金を落としたり、勝手にダメージ受けたり、命令は無視するし(笑)。
しかし、最も効率的に賢者に転職できるのは「遊び人」だけなんです。
お荷物で無駄だった存在が、めっちゃ重宝される存在になるみたいな。そんな人間になりたいですね。
ーー昔はふらふらと遊んでいたやつが、いつの間にか大物になっていたみたいな?
そうですね。
世間一般的には、ふらふらしているように映るけど、実はそれが「自分の意志をもって生きる」っていうことにつながっていればいいなと思いますね。
もっと実体験を通して伝え続けていきたいです。
ただ、今の私がそれを体現できているかというと、まだまだいろいろなものに縛られている気がします。
海外移住にはあまり興味はないですが、いろいろな国で見てきたものは、確実に仕事のエッセンスやスパイスになると思っています。
だから、前やっていたカンボジアでノマド生活の再来じゃないけど、パソコン一台で世界中飛び回るライフスタイルを送りたいなと思います。
「人に自由に生きろ」といいたいし、自分もいつまでもそうであり続けたいです。
今回、取材にご協力いただいた方はこちら
佐藤 ガルシア 渉さん
幼少期をスペインで過ごし、帰国後は普通に進学・就職。大手金融機関やIT企業での様々な職種(採用含む)を経て、ベンチャー企業でのキャリアも経験。PC一台で海外放浪しながら生活していたことも。現在はL.C.A.株式会社にて営業統括担当。趣味は出張ついでの観光旅行。